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うさぎってどんな動物?

院長の岡松です。

私が初めて飼育したペット(哺乳類)は実はうさぎなのです。

犬や猫に比べると、うさぎの体のしくみや正しい飼い方は、まだあまり知られていません。
「げっ歯類(ハムスターやネズミ)と同じ?」「にんじんが主食?」など、実は誤解もたくさんあります。

当院は現在は犬猫のみの診療を行っていますが、将来的にはうさぎの診療も開始したいと考えています。

その一歩として今回は、うさぎについてまとめてみました。

1. うさぎはげっ歯類じゃないって知ってましたか?

うさぎは見た目がネズミやモルモットに似ているので、よくげっ歯類と思われがちですが、
正しくは ウサギ目(Lagomorpha) に分類されます。

  • げっ歯類(ネズミ・ハムスター・モルモットなど)

  • ウサギ目(うさぎ・ノウサギ・ナキウサギ)

どちらも歯が伸びるという共通点がありますが、
うさぎは上の前歯の後ろに「小さな前歯(ペグティース)」がもう1本あるという決定的な違いがあります。

分類は違っても、歯が一生伸び続ける、草を齧るための特別な歯という点は共通しているので、噛ませてすり減らす生活環境がとても大事です。

2. うさぎの品種と寿命

ペットのうさぎは、もともとヨーロッパにいたアナウサギが祖先です。
そこから改良されて、現在は60以上の品種・500以上の毛色があると言われています。

  • 体重1kgくらいのドワーフ種

  • 7kg近くになる大型種(肉用として改良された品種)

  • 耳が垂れたロップ種

  • 被毛のタイプ(レッキス・サテンなど)

平均寿命は?

  • 飼育下:10〜12歳くらいまで生きる子も多数

  • 記録では15〜18歳という報告もあります

  • 野生では7〜8年生きれば長寿の部類

「うさぎは3〜4年しか生きない」というイメージは昔のもので、
今は適切な飼育と医療で、10年以上一緒に暮らせるペットになっています。

3. うさぎの体の特徴で知っておいてほしいこと

骨が軽くて折れやすい

うさぎは天敵から走って逃げるために、筋肉がしっかりしていて、骨がとても軽い動物です。

骨は体重の 7〜8%(猫は12〜13%)で後ろ足の筋肉がとても強いという特徴があります。

そのため、抱っこしたときに暴れて強くキックすると、背骨が折れてしまうことがあります。
特に腰(第7腰椎)の骨折は、後肢麻痺の原因になる重大な怪我です。

〇 抱っこのポイント

  • お尻と後ろ足をしっかり支える

  • 高いところから急に飛び降りさせない

  • 無理に抱っこせず、低い位置で撫でながら抱っこ

皮膚と足裏:ソアホック(足裏の皮膚炎)に注意

うさぎの皮膚はとても薄くてデリケートでバリカンでの毛刈りも簡単に皮膚を切ってしまうほどです。

足裏には肉球がなく、毛だけで体重を支えています。

そのため、金網の床や固くて滑るフローリング、汚れた床では、足裏がただれてソアホック(潰瘍性足底皮膚炎)になりやすくなります。

〇予防のポイント

  • 柔らかい敷材(牧草・マットなど)を敷いてあげる

  • 体重オーバーや肥満にも注意(重さ=負担になる)

  • 足裏の毛はむやみに短くカットしない

歯は一生伸び続ける「常生歯」

うさぎの歯はすべての歯が一生伸び続ける常生歯です。

前歯は齧る、切るために使われ、奥歯はすりつぶすために使われます。

本来は、硬い草を長時間噛んで過ごす生活をすることで歯がちょうどよくすり減る仕組みになっています。

しかし、ペットとして暮らすうさぎでは、食事がペレット中心、牧草が少ない、ケージでの運動不足・噛む時間の不足などにより、歯が伸びすぎて不正咬合(噛み合わせ異常)になりやすくなります。

〇予防のポイント

  • 主食はチモシーなどの繊維豊富な牧草

  • ペレットやおやつは少なめにする

  • 「歯ぎしり」「よだれ」「片側だけで噛む」「食欲低下」があれば、早めに動物病院へ

消化のしくみと「盲腸便」

うさぎは草食動物で、馬と同じく「後腸発酵タイプの消化をします。

ポイントは大きな盲腸。

盲腸の中で草が発酵し、ビタミンやたんぱく質が作られます。

そこで作られた栄養をもう一度利用するために、特別な軟らかい「盲腸便」をお尻から直接食べます。

これは病気ではなく正常で大切な行動です。

ただし、常にお尻が汚れていたり盲腸便が床にたくさん落ちている場合は、食事バランスや肥満・関節痛などの問題が隠れていることがあります。

尿の色が「赤い」「白い」…大丈夫?

うさぎの尿は、他の動物とかなり違います。

カルシウムの吸収、排泄

多くの哺乳類はカルシウムは腸で必要な分だけ吸収されますが、うさぎは食べたカルシウムをほとんど吸収し余った分は尿で排出します。

そのため、尿中にカルシウムが沈殿し白っぽく濁ることがうさぎでは珍しくありません。

カルシウムが多すぎる食事が続くと、膀胱や腎臓に石・沈殿物(スラッジ)がたまりやすくなります。

赤い尿について

うさぎの尿の色は、黄色〜オレンジ〜赤っぽい色まで正常の範囲があります。

一部の野菜(アルファルファ、ビーツ、ニンジン、ほうれん草、キャベツなど)や植物の色素・代謝産物によって赤くなることもよくあります。

※ただし、こんな時は要注意

  • 赤いだけでなく、ドロッとしている、かたまりが混じる

  • 痛そう・トイレで踏ん張る・頻尿

  • 元気・食欲がない

この場合は血尿や膀胱炎・尿石症の可能性もあるため、動物病院で検査をおすすめします。

口呼吸は危険サイン

うさぎはほぼ鼻呼吸の動物です。

のど(喉頭)が高い位置にあり、ふだんは軟口蓋の上に喉頭蓋がかぶさる形になっているため、口を開けて空気を取り込む構造になっていません。

そのため、口を開けてゼーゼーしている、呼吸が速く苦しそうという状態は、かなり危険なサインです。
早急な動物病院受診が必要です。

4. うさぎの行動とコミュニケーション

食事・飲水・排泄

薄暗い時間帯が活動的なため食事は朝と夜の時間帯によく食べます。盲腸便は食後3〜8時間ほどで出て、すぐに食べます。

水は体重1kgあたり50〜150mLと、犬猫よりも多く飲みます。

食欲や水を飲む量は健康のバロメーターなので、ペレット・牧草の減り方、尿の量や色、便の量・形等を日ごろから観察しておくと病気の早期発見に役立ちます。

群れで暮らす動物

野生のアナウサギは「ワーレン」と呼ばれる大きな集団を作り、複雑な巣穴で生活します。

一緒に寝転ぶ、互いに毛づくろい、追いかけっこや遊びなど、とても社交的な動物です。

ペットとしても、相性の良いうさぎ同士、人とのスキンシップは、心の安定にとても大切です。
ただし、相性が悪い場合は激しいケンカになることも。
他のうさぎや動物との初めての対面は必ず監視下で、少しずつ慣らしていきましょう。

ボディランゲージと音のサイン

うさぎはあまり鳴かないイメージですが、実は体や音でいろいろなサインを出しています。

よく見られるサイン

  • 小さく「カチカチ」と歯をならす:気持ちよくてリラックス

  • 大きな歯ぎしり:痛み・不快感のサインのことも

  • 後ろ足で「ドン!」と床を鳴らす:警戒・不安・怒り

  • ごろんと横倒しで足を伸ばす:安心してリラックス

  • 体を低くして耳を伏せる:怖い・服従

  • 甲高い悲鳴:強い痛み・恐怖

「なんとなく不機嫌」「前よりよく動かない・遊ばない」など、ささいな変化も病気のサインになります。

5. 飼育環境づくりのポイント

ケージと床

体を伸ばして横になれる広さがあり、立ち上がっても耳が天井にぶつからない高さが理想です。

床は金網むき出しにせず、牧草やマットを敷く、隠れる場所(箱・トンネル・布)を用意すると良いでしょう。

室内フリー飼育での注意

うさぎは電気コード、観葉植物、家具や壁など何でもかじります。

感電の危険があり、植物は有毒なものもあります。また誤食で胃腸トラブルのリスクもあります。

〇対策

  • コードはカバーに入れ、届かないようにする

  • 危険な植物は置かない

  • うさぎが入らないエリアを作る

気温管理:暑さにとても弱い

うさぎは寒さには比較的強く、暑さにはとても弱い動物です。

汗をかけず(唇に少し汗腺がある程度)、あまりパンティング(ハアハアする)もできないため28℃を超えると熱中症のリスクが高まります。

〇暑さ対策が重要

  • 夏はエアコンで25〜26℃前後に保つ

  • 風通しをよくし、直射日光を避ける

  • 冷感マット・ひんやりタイルなどを用意

  • 車内放置は絶対にしない

6. 繁殖と子育ての特徴

性成熟は小型種で4〜5ヶ月、中型種で4〜6ヶ月、大型種で5〜8ヶ月と言われています。

妊娠期間は約30〜32日、1回の出産頭数は4〜12頭(品種・母体による)です。

うさぎの母親は、1日に数分だけしか授乳しないという特徴があります。

夜〜早朝に一度だけ巣に来て授乳し、その間に子うさぎは体重の20%近くのミルクを飲みます。

「お母さんが子どもをほとんど見に来ないから、育児放棄では?」と心配されることがありますが、
うさぎにとってはそれが普通の子育てスタイルなのです。

うさぎは、犬や猫とは体の構造も行動もかなり違う動物です。

事前に知っておくことでちょっとした変化に気づきやすくなり、重い病気を防げることもあります。

もし、ごはんを食べる量がいつもと違う、うんちやおしっこの様子が気になる、歯ぎしり・よだれ・元気がない、呼吸やしぐさがいつもと違う

と感じたら、早めに動物病院にご相談ください。

この記事が、うさぎさんとの生活を安心で楽しいものにするお手伝いになればうれしいです。

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