脳神経科疾患 ②犬と猫のてんかん
こんにちは。おかまつ動物病院です。
当院では、ワクチン接種や健康診断などの予防医療から、日常的な体調不良に対する一般診療まで幅広く対応しております。
その中でも特に、整形外科や脳神経科の診療に力を入れており、歩き方の異常、足を痛がる、ふらつき、麻痺などの症状についてもご相談いただけます。
また、骨折、膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂、椎間板ヘルニアなどに対する外科手術にも対応しております。
今回は、神経疾患のひとつであるてんかんについてご紹介します。
てんかん発作とは?
てんかん発作とは、脳の神経細胞が異常に興奮することで起こる一時的な症状です。
発作というと「全身をガタガタけいれんさせる」イメージが強いですが、実際にはさまざまなタイプがあります。
代表的には、以下のような症状がみられます。
・突然倒れる
・手足を突っ張る、バタバタ動かす
・よだれが出る
・失禁や脱糞をする
・呼びかけに反応しない
・口をくちゃくちゃする
・一点を見つめる
・体の一部だけがピクピクする
・発作後にぼーっとする、ふらつく、落ち着きがなくなる
発作には、脳の一部から始まる「焦点性発作」と、発作の始まりから脳全体に広がる「全般発作」があります。
突然、愛犬や愛猫が倒れて体をけいれんさせたり、よだれを流したり、呼びかけても反応がなくなったりすると、飼い主様はとても驚かれると思います。。
てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することで、発作を繰り返す病気です。犬や猫でもみられる神経疾患のひとつであり、適切な診断と治療、そしてご家庭での観察がとても大切です。
てんかんは「24時間以上の間隔をあけて、少なくとも2回以上の非誘発性てんかん発作が認められる脳の病気」と定義されています。つまり、1回だけけいれんを起こしたからといって、すぐにてんかんと診断されるわけではありません。
「けいれん=てんかん」とは限りません
けいれんや発作のように見える症状があっても、すべてがてんかんとは限りません。
たとえば、低血糖、肝臓の異常による高アンモニア血症、中毒、電解質異常、腎臓病などでも発作が起こることがあります。
低血糖や高アンモニア血症など脳以外の異常によって起こる発作は「反応性発作」とされ、てんかん発作とは区別されています。
そのため、初めて発作が起きた場合には、てんかんかどうかを判断する前に、まず全身状態や血液検査などで他の原因がないかを確認することが重要です。
てんかんの主な分類
犬猫のてんかんは、大きく分けると以下のように分類されます。
〇特発性てんかん
血液検査や画像検査などで明らかな異常が見つからず、脳に明らかな病変がないにもかかわらず発作を繰り返すタイプです。
「突発性てんかん」と間違われることがありますが、正しくは「特発性てんかん」です。特発性とは「原因がはっきり特定できない」という意味です。
一部の犬種では遺伝的な関与が疑われており、若齢から中年齢で発症することがあります。
〇構造的てんかん
脳腫瘍、脳炎、脳梗塞、脳出血、外傷後の変化、先天的な脳の異常など、脳の中に明らかな病変があって発作が起こるタイプです。
てんかんが疑われる場合には、MRI検査や脳脊髄液検査など、より詳しい検査が必要です。当院で対応できる検査を行ったうえで、必要に応じて専門施設をご紹介いたします。
発作が起きたときにご家庭でできること
発作が起きたときに一番大切なのは、飼い主様が落ち着いて安全を確保することです。
まず、体を強く押さえつけたり、口の中に手を入れたりしないでください。発作中は意識がないことが多く、無意識に噛んでしまうことがあります。舌を噛まないようにと口を開けようとする必要もありません。
周囲にぶつかりそうな家具や物があればどけ、階段や段差から落ちないように注意してください。可能であれば、発作の様子を動画で撮影しておくと診断の大きな助けになります。
また、発作が何分続いたか、発作後どのくらいで普段の様子に戻ったか、発作の前に変わった行動がなかったかを記録しておくことも大切です。
すぐに受診が必要な発作
以下のような場合は、緊急性が高い可能性があります。
・発作が5分以上続く
・短時間に何度も発作を繰り返す
・発作後、意識が戻らない
・呼吸が苦しそう
・体温が高い
・初めての発作
・子犬、子猫、高齢の犬猫で発作が起きた
・中毒や誤食の可能性がある
5分を超える長い発作はてんかんの重積発作、短時間に何度も発作を繰り返す発作は群発発作として扱われ、早期の治療が重要です。重積発作や群発発作は迅速かつ段階的な治療が必要な救急疾患とされています。
てんかんの治療について
てんかんの治療は、発作の原因、頻度、重症度、年齢、全身状態によって判断します。
すべての発作で直ちに抗てんかん薬が必要になるわけではありませんが、発作の頻度が多い場合、発作が長い場合、群発発作を起こす場合、発作後の回復に時間がかかる場合などは、継続的な治療を検討します。
治療の目的は、発作を完全にゼロにすることだけではありません。現実的には、発作の頻度を減らす、発作の重症度を軽くする、発作後の回復を早くする、生活の質を保つことが重要です。
抗てんかん薬を開始した場合は、自己判断で急に中止しないことがとても重要です。急な中止によって発作が悪化することがあります。薬の量や種類の変更は、必ず獣医師と相談しながら行います。
発作の診察で大切なこと
発作の診察では、実際に発作を病院内で確認できないことも多いため、ご家庭での情報がとても重要です。
受診時には、以下の情報があると診断に役立ちます。
・発作の動画
・初めて発作が起きた年齢
・発作の頻度
・1回の発作の持続時間
・発作前の様子
・発作中の様子
・発作後の様子
・飲んでいる薬やサプリメント
・誤食や中毒の可能性
・過去の病気やけが
特に動画は、てんかん発作なのか、失神、痛み、前庭疾患、睡眠時の動き、行動異常など別の病気なのかを判断するうえで非常に役立ちます。
まとめ
てんかんは、犬や猫でもみられる脳の病気です。
突然の発作はとても不安になりますが、原因を確認し、発作のタイプや頻度を把握し、必要に応じて治療を行うことで、日常生活を維持できる子も多くいます。
一方で、発作の原因には低血糖や中毒、肝臓病、脳炎、脳腫瘍など、早急な対応が必要な病気が隠れていることもあります。
発作が起きた場合は、可能であれば動画撮影や発作の時間を記録して頂き、できるだけ早めに動物病院へご相談ください。
おかまつ動物病院では、発作の状況を丁寧にお聞きし、身体検査や血液検査などを通して原因を確認していきます。必要に応じて、専門施設での画像検査や高度検査もご提案いたします。


